先手:藤井猛九段
後手:豊島将之六段
先日、藤井先生対豊島先生の対戦があったのですが、藤井先生の圧勝だったので感想を書きなぐりたいと思います。
棋譜は某所から発見してください(無責任)
初手と二手目はお互いの角道を開け合う展開で、注目の三手目は最近お馴染みになった角交換振り飛車の出だし。
ハチワンダイバーだとダイレクト四間飛車という名前がつけられていましたね。
そして、四手目。
若き俊英、豊島六段は4二玉。
僕自身、対早石田相手に良く指す手ですが、ダイレクト四間飛車にも効くのかという点がちょっと意外でした。
10手目にようやく8筋を豊島六段は突きましたが、これが先後逆ですと8五歩となっているので、この将棋とは違った展開になっていたと思います。
この辺で先後の1手差みたいなものを感じます。
何気なくお互いの陣形を囲い合っていた所の19手目。
藤井節炸裂。▲8六歩は、僕も今まで見たことが無い手です。
7七銀、8六歩型は結構珍しい気がします。
1手差を最大限に生かした積極的な手のような気がします。
そして、なんと29手目の9六角。
これで先手が一気に優位に立つことになりました。
一見、歩をただ奪うだけの手に見えるのですが、それを受ける手がなかなか無い。
無理に受けるなら9二角とかでしょうが、そこで6六銀と出て桂頭攻めが受からない。
序盤における藤井先生の感覚はやっぱり棋士の中でも頭ひとつ飛び抜けている感じがします。
中盤の34手目9四歩はここしか突く場所がなかったという感じで、ここでは後手に有効な手が殆ど無かったきがします。
一方先手には指したい手が山ほどあって手段には困らなさそう。
35手目の4八金は高度すぎて理解出来ない手。
ぱっと見る限りは5七の強化+飛車打ちに強い陣形にしたという感じか。
金無双の構えの玉が居ないバージョンと見るべきか。
この辺は本当に理解しづらい難しい部分です。
42手目ついに、角飛車交換が行われ、後手の反撃が開始……に見えますが、実はこれは誘われた手っぽいです。
感動したのは45手目の7八飛。
桂、香、飛を取られても金銀+と金の先手有利という大局観。
これは僕にはとても思い浮かばない。
実際に、ここから51手目までお互い斬り合う将棋になりました。
52手目の2四香は入手した香車で弱点の玉頭に迫るすこぶる速い手で、この時点では居飛車持ちだと僕は思っていましたが、次の受けの手が素晴らしい。
それは3六歩という柔らかい受け。
同角ならば、そこで3七金打ちか3七金のどちらかで受けようという狙いだと思います。
そうすることで、玉の脇腹に飛車を打つ手(8二、7二、6二、5二)の有効性をさらにあげようという目論見ですね。
対する豊島六段の6九馬は将棋とはこう指すべきという苦しい側の粘りを感じます。
7二飛を避けつつ、守備駒の金を奪い取ろうという狙い。
しかし、55手目の6二飛で勝負はつきました。
この時点で明らかに先手一手勝ちコース。
馬と金を交換して3八金と張り付きますが、当然ながらの4一銀が受けづらい。
やむない4二飛の受けに対して素直に交換してから6二飛と打ち、4二銀打と受けさせてからの5三銀成が細い攻めをつなげる好手でした。
さすがに、ここまで来れば誰でも先手持ちになるでしょう。
ここでど素人なら勝負手として△2八金▲同玉△2七香成▲同玉……と王手ラッシュを掛けたくなりますが、どうにもこうにも金駒が1枚足りない。
勝負の受けである2二玉を豊島六段は着手しましたが、5四成銀が冷静な一手。
これで、攻防共に見込みがなくなった後手は、4九飛と型作り。
最後は▲3一角、△同玉、▲4一と(これは7筋からにじり寄ってきたと金!)、△同玉、▲5二金、△3一玉、▲1三角と綺麗に即詰みを決めて、藤井先生の大勝利。
以下普通にバラして端に追うだけの簡単な追い詰みでした。
こうして眺めてみると、現代将棋は細い攻めをつなげる技術が本当に伸びているんだなぁと改めて実感しました。
終わり


